タマワン節税の終焉
こんにちは、会計士の岡内です。
ついに9月になりました。ここ数日、日中はそれなりに暑いですが、朝は比較的涼しい日が増えました。今年の夏はやたら暑かった記憶しかありませんので、そろそろ涼しくなって欲しいですね。
さて、今回はタワマン税制の改正について書きたいと思います。
タワマン節税に関するパブコメ(締切済)
さて、去る7月21日に『居住用の区分所有財産の評価について』と題する法令解釈通達案の意見公募の手続きを開始していました。8月20日まで意見を受け付けたうえで、評価方法が改正される流れとなります。
このパブコメは、いわゆるタワマン節税を塞ぐための改正であり、富裕層の租税回避を防止する結果となります。タワマンの値上がりも相まって、投資商品としての旨味がありました。お金持ちだけが成せるテクニックですね。
しかし、令和4年4月19日のタワマン節税に関する最高裁の判決で国側が勝訴し、それを受けて評価方法を改正する流れが出来ていました。
そして今、このパブコメをもって改正が行われるということになっています。
マンション所有者は大増税?
さて、マンションの評価方法が変わるのは分かりましたが、気になるのはどれくらい評価が変わるかです。
現在、計算方法の案が出ていますので、それでそれっぽい数字を入れていくつかのパターンを計算してみました。なお、計算方法は専門的な内容になっているため省きます。
軽く電卓を叩いて計算した結果が以下の通りです。
項 目 | タワマンA | タワマンB | マンションC | マンションD |
築年数 | 3 | 10 | 14 | 15 |
総階数 | 50 | 30 | 5 | 5 |
所在階 | 50 | 10 | 2 | 3 |
専有面積(平米) | 100 | 70 | 50 | 15 |
補正率 | 2.54 | 1.95 | 1.55 | 1.55 |
※敷地持分狭小度はかなりテキトー
以上より、普通のマンションでさえ従来評価額から1.5倍に上がる可能性がある計算結果になりました。前提条件がかなり大雑把なため、もっと下がる可能性もあるのですが、評価額が上昇する可能性もそれなりにありそうですね。今後の財産評価の実務で、マンションに関しては手間が増えそうです。
計算の簡易ツールが用意される予定
通達の改正に合わせて、簡易な計算ツールが国税庁から提供される予定です。一般の方で気になる方は、このツールが公表されたら、一度ご自身がどのような取扱いを受けるか確認されるのもよいと思います。予想としては、一般の方でも入力可能な表現になっているものと考えられます。
正式な改正はパブコメ案からそんなに変わらなさそう
パブコメの段階ではあくまで案であるため、正式版と一部内容が変更となる可能性があります。しかし、以前あった事業所得の改正案並みに意見が届かない限り、原案通りにそのまま改正が入るでしょう。そもそもこのタワマン節税に関しては、以前から国税当局も問題視しており、個人的には原案通りに通すだろうなとは考えています。