こんにちは、会計士の岡内です。

11月に入り、冬本番が近づいてきました。そろそろ、忘年会に向けての日程調整が動き出す頃合いですね。

今回は前回に引き続き、インボイスに関する記事になります。

夜の町でインボイス番号が無い店は不自然？！

インボイス制度の始まった10月以降、私も飲み屋街を利用する際に領収書を貰うのですが、インボイス登録番号が無いところが結構あります。

申請に間に合わなかったというところ、取らないとはっきり言うところ、意味不明な言い訳をするところなど様々です。ただ夜の街、特に飲食店でインボイス登録番号が無いところに違和感を覚えることがあります。立地、店舗の広さ、従業員数などを観察していると、年間売上1,000万円に達しないのはありえないだろうと推測されるからです。インボイス登録番号が無い合理的な理由がどこにあるのか考えてしまうのは職業病ですね。

税抜表示と言い張るかどうか

結局、インボイス登録番号の無い事業者は、あくまで税抜価格で販売・請求し、且つインボイス登録事業者でないことをどこかに明示しないとトラブルになるかもしれません。

消費税を余分に取っているから不当だと思われても面倒ですし、インボイスが無いと経費精算が認められない会社も世の中にはあります。

こういったことを踏まえて、免税事業者の方はインボイス登録番号を取るかどうか考えないといけないでしょう。

でも結局は主要顧客が誰かが重要

そもそもインボイス登録番号を取るかどうかは、売上高が1,000万円以上あるかと主要顧客層が誰かによって対応が異なります。

売上高が1,000万円以上あるところはそもそもいいとして、インボイス登録番号のある領収書等が必要な人は、消費税の申告や経費精算等に必要だから欲しいのです。そのため、消費税の申告が不要な人や家計簿のみに必要という場合は、別にインボイスが無くても問題にはなりません。従来通りの領収書やレシートでも十分な訳です。そのため、例えば子供の学習塾などはインボイス登録番号が必要な場面というのは通常考えられないので、無くても問題にはならないでしょう。しかし、接待で利用するような飲食店や文房具店などは、主要顧客に法人客や事業者がいます。その顧客は経費なので領収書等にはインボイス登録番号が必要になります。そういった人たちはインボイス登録番号が無い領収書を貰うと、自分たちが不利な取り扱いを受けます。

以上の結果から、基本的に法人顧客や事業者が主要顧客層として重要なのであれば、インボイス登録番号は必要になるという流れになります。免税事業者において、これをどう判断するかはもちろん自由です。

ただし、一部のお客様は心情的に許してくれないことが予想されます。

インボイス登録番号が無いとお客様が許してくれないかもしれない

残念なことに、インボイス登録番号が無いお店では、お客様からのクレームに発展することが予想されます。一般の方はインボイス登録番号が無いということは、払わなくて良い消費税を払わされているという感覚になるからです。実際、消費税を払っているけど国に払われていないので、余分に払わされているのは間違いないわけです。ただ、これ自体は合法で法的な問題はありません。

しかし、お客様が心情的に許せるかどうかは別問題になります。許せないと感じる人がある程度は出てくるのは避けられないでしょう。そういう人は今後の利用を控えるだけでなく、一部はSNSで不満を発信する可能性があります。今の時代、SNSで発信して注目を浴びたいと考える人は少なくないので、そういう人に目をつけられる潜在的リスクをコントロールすることも考えないといけません。

これらを引っくるめて、免税事業者はインボイス登録番号を取るかどうかの判断は必要になるでしょう。