飲食等の接待が1万円以下に拡大
こんにちは、会計士の岡内です。
残り2週間ほどで2023年も終わりですね。皆さん、この1年はどんな年だったでしょうか?
さて、今回は今年の税制改正大綱の中で、皆さんが興味を持たれるところを記事にしたいと思います。
接待交際費から除かれる飲食費等が1万円以下に拡大
接待交際費に含まれる飲食費等について、従来は5千円以下がそこから除かれていたました。これは、長らく不景気が続いた結果、接待を通じて夜の街にお金が落ちず、経済全体の循環に悪いという理屈で導入された比較的新しい取り扱いです。
しかし、従来からの原材料の値上がりやコロナ以降の急激な物価高により、5千円程度では接待が出来ないような状況になっていました。法人が行う飲食等の接待において、社内基準で5千円というルールを定めている所も多く、これが実務では足かせになり、飲食店の需要を損なっていました。
そこで、今年の改正では、この額を1万円以下に拡大し、飲食店にお金を落として貰って経済を回そうということになった訳です。
このルールはあくまで飲食等に限定される
接待交際費の5千円ルールは、『飲食その他これに類する行為』に限定されており、いわゆる手土産といったものは含まれません。よく5千円以下だからお菓子等も除外だろうと勘違いされる方がいますが、この点は1万円以下になっても変わらないでしょう。
そのため、お中元やお歳暮などは接待交際費として損金不算入の計算対象となります。
飲み食いしやすい環境にはなる
今回の改正により、夜の街における飲食需要は伸びると思います。1万円以下に拡大すれば、お店側もそれを意識したメニューの開発を行います。飲み放題付き税別1万円以下ないし税込1万円以下のコースですね。
ここまでの金額になれば、もう少しまともな食事も提供できると思います。今だと飲み放題を付けたら学生のパーティー程度の食事しか出てこないので、流石に接待では使えません。
接待する側はインボイスの無い飲食店に要注意
インボイスの無い飲食店においては、消費税の計算が異なります。そのため、1万円ルールにおける税別税込の取り扱いで、このルールが使えないことがあります。
例えば、インボイスの無い飲食店で税別1万円のコースを注文すると、本体価格が10,200円(令和8年9月まで)になってしまうのでこのルールから外れてしまいます。銀座や北新地レベルでインボイスの無い店はレアだとは思いますが、地方都市に行くとまだまだあります。1万円以下に拡大したから良いコースを頼もうと思っても、インボイスが無いと意味が無くなるケースがあるので、その点はご注意ください。