サプライチェーンの大型補助金
こんにちは。会計士の岡内です。
緊急事態宣言も解除され、そろそろ飲み会を計画されている方も多いのではないでしょうか?
今回は、先週末に公募が開始された、『サプライチェーン対策のための国内投資促進事業補助金』について書きたいと思います。
公募期間は令和2年5月22日~令和2年7月22日正午必着です。郵送のみの応募になっています。
1申請あたり最大150億円の大型補助金
5月22日の金曜日より、この『サプライチェーン対策のための国内投資促進事業補助金』が公募開始となりました。
ざっくり言うと、目的は名前の通り、コロナで日本のサプライチェーンの脆弱性が顕在化してしまったので国内に製造工程を構築するなら補助しますよ、というものです。
具体的には、海外の依存度の高い製品の製造工程を日本国内に作る、マスクや消毒液又はその部素材を自社で増産するといった事業計画が対象になります。一応、複数の企業が連合を組んで応募するという方法も可能ですが、いわゆる資本関係のあるグループ企業同士での申請は認められません。
補助の対象になるものは建物・設備・システム
まず、建物ですが、これは工場と物流施設に分けられます。なお、建物は必ず機械装置といった設備の投資を同時に行わなければ補助の対象にはなりません。
工場は、製造業又は情報通信業の用に供される施設が対象です。
物流施設は主に、運送業・製造業・卸売業・小売業等で『一時的な需要増によって需給がひっ迫するおそれのある製品・部素材のうち、国民が健康な生活を営む上で重要なもの』を取り扱っている倉庫や配送センターが対象です。こちらは細かい規定があるので説明は省略しますが、マスクや消毒液、その部素材などが念頭に置かれています。
設備は読んで字の通り、建物内部の設備です。機械とかですね。
システムは事業の中で用いられるソフトウェアが対象になります。各種管理システムなどが考えられます。
応募のタイプは大きく分けてA・B・Cの3つ
今回の補助金で応募できるタイプは大きく分けて3つです。それぞれで補助率や応募要件が異なります。
まず、A事業は、『生産拠点の集中度が高い製品・部素材の供給途絶リスク解消のための生産拠点整備に係る事業』が対象になります。これは海外に依存している製品や部素材の国内生産への転換を目的にしていますね。そういう事業が対象です。補助率は大企業1/2、中小企業等が2/3です。
次にB事業は『一時的な需要増によって需給がひっ迫するおそれのある製品・部素材のうち、国民が健康な生活を営む上で重要なものの生産拠点等の整備に係る事業』が対象になります。要するに、マスクや消毒液、その原材料や素材などの製造が対象ということです。この対象は意外に広く、いま医療現場で不足している物資の他、ゴム手袋やティッシュペーパーなども例示で示されています。なお、物流施設の投資計画は、このB事業に限られます。補助率は大企業2/3、中小企業等が3/4です。
最後にC事業ですが、これは複数の企業が連合を組んで応募するタイプです。資本関係のある親子会社、兄弟会社といったグループ企業のみでの申請は認められません。ただ、地場の企業等で連合を組んで申請となると、各企業間で事業計画の調整を行う必要があると思います。今から調整するというのは現実的には厳しいかもしれません。補助率は中小企業等3/4です。大企業は対象外です。
事業期間は3年間
今回の補助金の事業期間は、3年間を予定しています。そのため、大型の案件でも実現可能な期間が設定されています。工場の建設、設備の搬入と設置まで、3年間あれば大丈夫でしょう。そういう意味では、補助金額も期間も相当優遇されていると思います。
当たれば大きい補助金
この補助金は、予算が2,200億円なので、補助上限額からして採択件数は知れていると思います。しかし、補助上限額が150億円で補助率が中小企業なら2/3や3/4ということで、採択されれば相当大きな補助金になります。極論、新工場が建物や中身も含めて、普段の1/3や1/4のお金で完成させられるわけです。
採択の可能性があれば、応募は一考に値するのではないでしょうか。
当事務所でも支援しています
今回の補助金について、当事務所ではご相談や申請書の作成支援を受け付けています。もし申請でお困り事があれば、是非一度、ご相談ください。
なお、公募期間は2ヶ月と短いこと、各種調査やお願いする資料が多岐にわたることが予想されることから、お早めに行動されることをオススメいたします。