令和3年度補正予算閣議決定
こんにちは、会計士の岡内です。
先週末、令和3年度の補正予算が閣議決定されました。今後、臨時国会で審議されて可決成立する流れになると思います。
今回は、その補正予算の中で、中小企業で用いるであろう補助金等について記事にしたいと思います。
経済産業省の補正予算は約5.5兆円
今回の補正予算における、経済産業省の予算枠は約5.5兆円となっています。このうち、約半分は『事業復活支援金』で、10%強が『中小企業等事業再構築促進事業』と『先端半導体生産基盤整備基金』となっています。約7割強がこの3つの政策で占められています。
『事業復活支援金』は、以前の『持続化給付金』のおかわりみたいな政策であり、『中小企業等事業再構築促進事業』は事業再構築補助金ですね。そして『先端半導体生産基盤整備基金』は半導体不足による工場建設などに関する補助金です。
それでは、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
事業復活支援金
『事業復活支援金』は、来年3月までの見通しを立てられるよう、コロナ禍で大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じて支給する支援金となります。
要するに、以前あった持続化給付金のおかわりに相当する支援金になります。ただ、受給の条件が『新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上が50%以下に落ち込んだ事業者』という形になっています。どの時点と比較するかですが、多分コロナ前だと思われます。
支援金の上限については、30万円~250万円と幅があります。個人・法人の別や売上高・売上減少率でこの金額は変動します。飲食店の一律給付が問題となったので、それに対応した形での給付になっているようです。
ところで、以前の持続化給付金で問題になった受給詐欺について、今回はどういった対策を取るのでしょうか。
以前は確定申告書や売上明細などを添付すれば、簡単に受給が可能でした。そのため、大学生などが事業者であると偽って詐欺に加担し、その後に返金したというニュースがあったと思います。
今回の受給に関して、一時支援金のように認定支援機関等の事前確認を求めるのでしょうか。会計事務所やメインバンクと取引があれば比較的スムーズに手続きは進むのでしょうが、取引が無いところは大変かもしれません。一時支援金に関しては、事前確認で貰える手数料より確認する人件費の方が高い傾向にあり、確認すればするほど赤字になりやすいという構造的欠陥があります。そのため、既存顧客にはサービスの一環として事前確認をする認定支援機関等は多いですが、飛込みの一見さんに対応する所はかなり限られるからです。一見さんでも対応してくれる所を探すのがかなり大変なので、ひょっとすると事務局側で一括処理するような制度設計になるかもしれません。
中小企業等事業再構築促進事業
『中小企業等事業再構築促進事業』は、事業再構築補助金の追加予算です。昨年度の補正予算でスタートしている大型の補助金ですが、各種特別枠のような枠を設定して継続したり、売上高減少要件の緩和などが盛り込まれています。
既にスタートしている補助金ですが、以前メディアで財務省が経済産業省に対して、この補助金の在り方についてクレームを付けており、今後の見直しは不可避かと思われます。補助金依存や過大投資などの弊害を指摘されています。
中小企業に対してチャレンジングな事業のスタートを促すには、やはり資金的な手当てが無いと苦しいというのも事実です。一定の補助が無いと踏み切れないでしょう。
ただ、制度的にはものづくり補助金と合体させてもいいのかなという感じではあります。この『中小企業等事業再構築促進事業』とは別枠で『中小企業生産性革命推進事業』としてものづくり補助金、持続化補助金、IT補助金、事業承継補助金などがあります。
この辺りの補助金は、再編がされても不思議ではないのかもしれません。
先端半導体生産基盤整備基金
『先端半導体生産基盤整備基金]』は、国内に半導体の生産施設の整備に補助をする補助金です。新型コロナウイルスの影響で、サプライチェーンが毀損し、受給が逼迫したために半導体の在庫不足が続いています。製造業でも部品の調達が遅れ、納期が不明という状況です。自動車の減産をメディアで見た方も多いと思います。
そこで、国内に半導体の生産施設の整備を進めようというのがこの補助金の目的になります。NEDOが事務局になって実施するものですが、見ている感じだとハードルが高そうです。どうも投資計画の認定を取る必要があるみたいなので、それなりにしっかりした計画を立案して提出しないとダメな感じです。そうなると、必然的に大型案件になりやすいので、中小企業が手を出すのは少々ハードルが高いのではないかと思います。しかも、先端半導体や高性能な半導体がメインとなっており、その周辺産業はどうなるのかよく分かりません。
公募要領次第ではありますが、周辺産業まで含まれ、中小企業でもなんとかなりそうであれば、やってみるのも有りかもしれません。