健康経営を推進するメリット
こんにちは、会計士の岡内です。
梅雨に入り、雨が多くなってジメジメする季節になりました。早く明けて、夏になって欲しいものです。
今回は、目にする機会が増えた健康経営について書きたいと思います。
健康経営とは
健康経営とは、経済産業省が推進するヘルスケア政策で、次の3つの目標を達成することを目指しています。
- 国民の健康増進(健康寿命の延伸)
- 持続的な社会保障制度構築への貢献(医療・介護本体の高度化、生産性向上など)
- 経済成長(労働力の量と質の確保など)
要するに、『長く健康に働けるように過ごし、医療費を抑え、お金を稼いでください』ということを国民に求める政策です。
てっきり厚生労働省の政策と思ってしまいますが、中身がこれなので経済産業省の管轄になっています。
従業員の健康管理コストを投資として考える
当たり前ですが、従業員の健康管理にはお金がかかります。しかし、従業員は経営者にとって、稼ぎの源泉にもなります。事業をしていれば分かると思いますが、従業員を雇うのはより多く稼ぐためです。そのため、必要な数の従業員を雇うことは、経営者にとって重要な経営課題になります。
少子高齢化で働く人材が不足しているなかで、人を集めようと思うと待遇を良くすることが必須条件になります。その待遇条件の一つとして、従業員の健康管理にお金をかけるという視点を持ちましょうと政策では説いています。
人余りの時代は過去の話しで、これからは人を雇うことに頭とお金を使う時代です。これをコストと考えているようでは、人材獲得競争に負けてしまうのは明白です。しかもこれからは、海外への人材流出も起こりえます。外国語を話せれば、海外で出稼ぎをするという選択肢が出てくるからです。Youtubeで海外への出稼ぎについて、報道を見られた方も多いのではないでしょうか?
健康経営優良法人認定制度
さて、健康経営を行っている事業者は、健康経営優良法人として認定を受けることができます。
これのメリットは、なんといっても経済産業省系列の補助金に応募したときの加点措置です。健康経営という政策自体が比較的新しいものなので、その普及を目的に行っていると考えられます。以前も、経営力向上計画、先端設備等導入計画、事業継続力強化計画が導入された当初、ものづくり補助金などで加点措置がありました。
今は健康経営優良法人に認定された事業者に対して、事業再構築補助金やものづくり補助金などで加点措置が行われています。
何点加点されるかは分かりませんが、補助金は1点の差で数千万円の補助金が貰えるかどうかを左右することが多々あるため、この加点措置は大きいです。
認定を取るには少しハードルが高い
健康経営優良法人の認定を得るには、少しハードルがあります。それは健康管理の担当者の設置や従業員の教育など、中小企業では合計22項目のうち14項目を満たさないといけないからです。中には簡単な項目もありますが、少し大変なものもあります。加えて、認定のタイムスケジュールが毎年夏頃から秋頃に申請を受付、翌年3月に認定を行うという年1回というものになっています。しかも、有効期限が1年間なので、常に認定を受け続けて補助金を狙おうと考えると、手間の割に使い勝手が良いとは言い切れません。正直、従業員が50名以上くらいのそこそこ大きな会社が利用できそうな内容かなと個人的には思っています。
しかし、補助金の加点は確かに大きいので、取る価値はあります。補助金で数千万円が動くと考えれば、安い投資かもしれません。
余裕がある経営者の方は、一度ご検討されてはいかがでしょうか?