経営強化税制でミス?
こんにちは。会計士の岡内です。
9月に入り、台風シーズンの到来となりました。
今年は海水温が高いので、強力な台風の襲来が予想されていますが、防災の準備は皆さん大丈夫でしょうか?
さて、今回は経営強化税制で即時償却や税額控除を利用した手続きで証明書のミスが発覚した事件について書きたいと思います。
空調メーカーで証明書の発行ミスが発覚
経済産業省より、令和4年8月23日付けでダイキン工業(株)の一部設備について、要件を満たさないにも関わらず工業会の証明書を発行していたことが発表されました。
具体的には、ダイキン工業が誤った数値で工業会に証明書の申請を依頼しており、税制上の要件を満たさないのに即時償却や税額控除等を受けている一般ユーザーがいる可能性があるとのことです。対象の事業者数は1,500社程度に及び、今後は修正申告や納税などの対応を求めています。
一般ユーザーへの影響は広範?
今回の事件は、経営力向上計画による即時償却や税額控除、固定資産税の減免(旧制度)並びに先端設備等導入計画による固定資産税の減免制度(現行制度)に影響を及ぼします。
元々、中小企業の設備投資を促して生産性の向上を図るために、経営力強化税制が導入されたという経緯があります。そのため、工作機械などの導入は、この制度を利用するということが多かったです。
今回は空調メーカーの設備のため、件数は比較的限定されているように思いますが、如何せん、税務署と市役所の両方に修正申告と納税を行わなければなりません。
『メーカーが誤った証明書を発行したのだから、ユーザーに責任は無い』という声も聞こえそうですが、税金は法律に則って必ず課されるものです。税制上の特典を受ける要件を満たさない以上、そこは関係ありません。残念ですが、法律の定めに沿った形での修正申告をする必要があります。当然、加算税や利息に相当する部分も支払わなければなりません。
メーカーに対する損害賠償は別
修正申告で税金を支払うことは仕方ないにしても、それに対する損害賠償は別の話しになります。
要するに、税金の本体部分は仕方ないにしても、『加算税や利息はメーカーが誤った証明書を発行したことが原因』なのだから、そこは責任を負うべきだという話しです。
これらの点について、メーカー側からユーザーに個別連絡が行われ、何らかの対応が取られると思います。代金の一部返金や今後の取引で値引調整をするなどでしょうか。なんにせよ、面倒な形になるので、メーカーとはよく話し合う必要がありそうです。