インデックス投資における利回り計算
こんにちは、会計士の岡内です。
ウクライナ危機やらe-taxの通信障害やら色々ありましたが、皆さんお元気でしょうか。
今回は、メディアなどで話題になっているインデックス投資について書こうと思います。
インデックス投資とは
インデックス投資とは、ある特定範囲の市場(株価)の総合的な価値を数値化したものであるインデックス指数と同程度の値動きをするものに投資することを言います。
特定範囲はファンドのテーマで色々とありますが、代表的な指数としては日経平均株価(225銘柄)、TOPIX(東証一部全銘柄)、ダウ平均(米国30銘柄)、S&P500(米国500銘柄)、ナスダック(米国ナスダック全銘柄)があります。
投資信託でのインデックス投資は海外で1971年に登場し、日本では1985年に登場します。その後、インデックスの投資信託をETF化して上場したのが世界では1990年、日本は遅れて2001年です。
インデックス指数の推移
インデックス指数は、長期的に見ると右肩上がりで成長していることが確認できます。これは様々なブログ等でも書かれている通りです。
一例として、2000年1月から2021年12月までのS&P500の推移を見てみましょう。
ドットコムバブルの崩壊やリーマンショックなどの暴落局面が見られますが、最終的には右肩上がりで成長していることが分かります。
この期間において、積立投資をひたすら続けていれば、簡易的な計算ですが最終的に年利9%前後で成長していたことになります。
利回り9%は現実的には難しい
S&P500が年利9%前後で成長したと書きましたが、これは簡単なものではありません。なぜなら、仮に2000年1月からコツコツと積立投資を行っていた場合、ドットコムバブル崩壊の荒波に飲まれて2004年になるまで累計投資損失となっているからです。正直、3年や4年も累計損失が出ていると、積立中止やポジションの整理を行う人はかなり存在するはずです。
仮にこの荒波を乗り越えて損失を取り戻したとしても、リーマンショックで再度累計投資損失へと転落します。大体の投資家は、このタイミングで脱落して積立中止やポジションの整理へと動いていると思われます。何故なら、狼狽売りもそうですが、なにより金融危機で仕事を失ったり給与の大幅な減少によって住宅ローンの支払いが辛くなったりして、金融資産を手放さざるをえない状況に陥った方も多かったからです。
『長期でホールドしていれば良い』という結果なのは分かりますが、長期で保有し続けられない状況に陥る可能性について言及しているブログや動画はどれだけあるのでしょうか。個人的には、ここについてもっと考慮すべきだろうと思います。
だからこそ、『資産運用は余裕資金や生活に支障の無い少額の積立投資でやりましょう』という話しになる訳です。
このリーマンショック負けずに積立投資を続けた投資家だけが、約2年後に損失を取り戻しました。
その後株価はすくすく成長し、2020年にコロナショックとその後の株価高騰が訪れたのは皆さんのご承知の通りです。
これらの暴落に関係なく、積立投資を続けられた投資家のみが、年利9%のリターンという果実を得られたことになります。ただし、今回の計算はかなり簡易的な方法で試算しており、実際には積立のタイミングや値動きで実際の利回り計算は変動します。
巷では、『米国株なら年利8%や9%超で回る』みたいなことが言われていますが、これは結果論であって、そこに至るまでには相当厳しいハードルが複数あったということが置き去りにされている感が否めません。結果だけ見て投資を始められても別に構いませんが、そんなに甘くないものと理解した方がよいでしょう。