タックスシールドとは?(その1)
こんにちは。会計士の岡内です。年も明けて、そろそろ正月ボケも治ってくる頃じゃないでしょうか?
今回は表題の通り、タックスシールドについて書こうと思います。
タックスシールドとは?
タックスシールドとは、税金によるキャッシュアウトフローの減少効果のことを言います。新規事業計画や設備投資など、投資の意思決定において必ず出てくる概念です。
文章で表してもピンときませんよね。『税金なのにキャッシュアウトを減らすってなんぞや?』って感じです。そこで下記の例題を用いて説明します。
<前提条件>
全て現金取引であり、一切の掛け取引は無いものとする。
欠損金は無視する。
実効税率は30%とする。
まずは、上図の左側の数値を見てください。収益100,000千円に対して費用80,000千円となっており、税前利益が20,000千円です。そこから税金を30%分支払うので、税引後利益は14,000千円となりました。
これに対して、上図の右側の数値は費用5,000千円を追加で計上したという例です。税前利益は当然5,000千円減って15,000千円ですが、利益が減ったので税金も減りました。税引後利益は10,500千円です。
この図から分かる通り、5,000千円の費用に対して最終利益の減少は3,500千円です。1,500千円ズレてますよね?
答えは5,000千円×30%=1,500千円です。
これがタックスシールドと呼ばれるものになります。すなわち、税金によるキャッシュアウトフローの減少効果です。お分かり頂けたでしょうか?
この効果により5,000千円を費用で支払っても、最終的には3,500千円の支払いしか無かったということになるのです。
このタックスシールドの説明については、本当は減価償却費等の非資金支出費用で説明されることが多いです。しかし、今回は話しを単純化して一般の方にも分かりやすくするため、あえて現金支出の節税効果で説明しています。直感的に分かりやすいでしょ?
専門書などであれば、『5,000千円は減価償却費で、その税率分の1,500千円が減税額としてのタックスシールドの効果であり、よってキャッシュフローは・・・』といった感じで説明されます。
投資の意思決定では必須の概念
新規事業や設備投資を行うに際して、程度の差はあれど、事業計画が存在していると思います。
この時、タックスシールドは必ず出てきます。減価償却費等が、どうしてもキャッシュフローに影響を与えてしまうからです。税金がキャッシュフローに影響を与える以上、これを考慮した上での経営や設備投資の方針を考えることは非常に重要なことになるのです。
投資の意思決定がどれだけ税金で影響を受けるか、一般の方にも分かりやすい記事をまたの機会に書きたいと思います。
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