税率が投資の意思決定に与える影響力
こんにちは、会計士の岡内です。
さて、以前タックスシールドについて書きました。今回は税率がどれだけ投資の意思決定に影響を与えるか、事例を考えてみたいと思います。
本当ならタックスシールドの続きなので、横軸に年数、縦軸にキャッシュフローを書いた図を使えばいいんですが、慣れていない方が見るとよく理解出来ないだろうと思い止めました。慣れてる人からすると、『あー、あれね』って図なんですが。
そんなことを考えつつ、色々とネットの海を彷徨っていたら良い例題があったので、それを使ってみようと思います。
小規模企業共済の節税効果による利回り計算
中小企業の経営者の方であれば、馴染み深い制度ですね。
例題の前提条件は下記のとおりです。
1.キャッシュフローは年末に発生する。
2.共済金は一時金で全額受取る。
3.45歳から開始して65歳で受取る。
4.共済金はB。
5.所得税率は20%。
6.税制は変らない。
7.端数処理は無視する。
試算結果は以下のとおりです。
以上の結果となりました。
退職所得扱いなので、上記の例では課税される退職所得はありません。(20年×40万円=800万円)
税引後利回りが4.64%と、事実上の元本確保型では圧倒的ですね。これなら加入しようという意思決定もアリではないでしょうか。
しかし、所得がマイナスになってしまうと、節税効果が得られないということになり利回りは一気に悪化します。とはいえ、常に所得がマイナスということも無いので、銀行の定期預金よりは利回りは高くなりそうです。ちなみに、極端な例ですが、常に所得がマイナスの場合の利回りは1%です。いくら低金利とは言え、20年間資金を拘束して1%となると、やらないという選択肢も出てくると思います。場合によっては中途解約の必要が出て、元本割れなんて可能性もありますし。
上記の例から、税率が投資の意思決定に影響を与えている、というのがなんとなく分かりますよね。
今回の例は小規模企業共済の節税効果からの利回り計算でした。この考え方は、固定資産の購入の意思決定などでも基本的には同じです。
当然ながら、所得税率や払込年数が変れば利回りは変ります。皆さんも、エクセルの計算式を走らせて色々と試算してみてはいかがでしょうか?