事業性評価による融資
こんにちは。会計士の岡内です。
11月も終わりになり、あと1ヶ月で今年も終わりですね。皆さん、あっという間の1年だったのではないでしょうか。
さて、今回は事業性評価による融資について書きたいと思います。
事業性評価による融資
事業性評価による融資とは、『財務データや担保、保証に過度に依存することなく、貸出先の事業内容や成長性を評価して融資する方法』を言います。要するに、『不動産担保とか無くても、ちゃんと儲かる商売かどうかの分析を重視して融資しますよ』ってことです。
従来、不動産担保や協会保証などの担保が重視されてきました。バブル期以後の不良債権処理で金融機関の財政状態が大変だったからです。金融庁も、金融機関の破綻を防ぐために金融機関の貸出債権の検査を厳しくしました。金融機関側もこの検査があるので、リスクが高い融資を躊躇するような場面もあったようです。
しかし、この様な検査方法が廃止されることが既に決まっており、今後は上述のようなリスクの高い融資も積極的に実施可能となります。
事業性評価による融資は金融機関の評価項目
実は事業性評価による融資は、金融庁が金融機関を監督する際の評価項目になっています。そのため、金融機関としては、事業性評価による融資をしっかり行っているかどうかの実績が求められるようになります。
また、事業性評価による融資は金融機関のベンチマークの一つとして、金融機関自身が公表しています。『うちらこれだけ事業性評価による融資実行してますよ。』ってことを公表しているのです。
融資先の獲得競争が熾烈を極める中、今後はこの辺りで差別化が進むかもしれません。
事業性評価へのアプローチ
さて、事業性評価による融資を受けたい、または増やしたいと考える場合、自社で事業性評価を行わなければいけません。そして、それを金融機関に説明し、納得してもらう必要があります。では、そのためには、何が必要でしょうか?
結論から言えば、事業計画書になります。事業計画書で自社の事業性を評価して、それを金融機関に説明することになります。事業計画を策定し、それを書面に落とし込むにあたり、いくつかの項目を例示してみます。
- どういうビジネスをやっているか?(商製品、数量、仕入先、売上先)
- 近年の経営状態はどうか?
- 過去に行った投資等の大きな事項について、その理由と結果はどうか?
- 今後、会社をどの様に経営したいか?
- 外部環境はどうなっているか?
- 経営課題とその解決方法は何か?
- 自社の強みと弱みは何か?
- 今後の見通しは?
上記で例示した様なことを、さらに深掘りして、どういう風に会社を経営していきたいか、それにはどうすべきか、何が必要かを分析することになります。
これを取りまとめて体裁を整え、文書化したものが事業計画書ということになります。そしてこれを金融機関に説明し、『事業性を評価した結果、担保とか無くても融資OK』という心証が得られれば、事業性を重視して無担保・無保証による融資へと繋がることになります。
今後、金融機関との付合い方も変わっていくと思いますので、事業性評価については一度、検討してみることをオススメします。