iDeCoの税制改悪待ったなし?
こんにちは、会計士の岡内です。
関西も梅雨入りし、ジメジメした季節がやってきました。早く梅雨明けして夏にならないかと願うばかりですね。
さて、今回はiDeCoの税制上の改悪の兆しについて書きたいと思います。
iDeCoの退職所得の齟齬
iDeCoは60歳以降に一時金又は年金として自分が運用したお金を受け取れる退職金制度です。そのため、退職に関する税制が適用され、一時金は退職所得、年金は公的年金の雑所得です。
iDeCoは一時金を受給する時期次第で大きく税金が異なる仕組みになっており、今後の税制改正も含めて注意が必要でした。この点は、iDeCoが流行りだした頃から様々なブログや動画投稿サイトでも述べられていたように記憶しています。
今回、税務通信において、このiDeCoの受取時期における税制上の齟齬に関する記事が掲載されました。どうやら一部実務家から疑問が出ているというものです。
ついに退職所得の税制に手を出す時が来たかというのが私個人の率直な意見です。
4年縛りと19年縛り
まず、退職一時金の一般的な税制について説明します。退職年金は省略します。
勤め先の一般的な退職一時金の場合、勤続年数の長さに比例して税金が安くなる仕組みになっています。これは、老後の生活資金という性格から、あまり税金を課すと結局は生活が成り立たなくなることを避けるためです。そのため、税金にしては珍しく、かなり手厚く保護されたところと言えます。
しかし、これを逆手にとって短期間で何度も退職金を受給するようなことを塞ぐため、4年縛り(短期退職手当もありますが、その解説は省略します)が存在します。要するに、一度受給したら暫くは手厚く保護された同じ制度を使わせないというものです。正確には、前年以前4年以内に受給している場合は、税制上で調整をさせるというものです。
次に、iDeCoの一時金の場合を説明します。iDeCoの一時金も退職一時金と同じなのですが、こちらは19年というとてつもなく長い期間を縛ります。要するに、iDeCoを受給する前年以前19年以内の退職金は、お得な制度を使わせないというものです。
老後2000万円問題をクリアさせない税制になりそう
暫く前に、金融庁から老後2000万円問題というものが出てきました。
普通の年金生活では、老後に2000万円の資金が必要というものです。
退職金はこの問題を解決しうる数少ない手段です。
しかし今回、税務通信においてiDeCoの記事が掲載されたことで、増税への改正が進められると思われます。記事の内容には増税とも減税と書かれていませんが、基本的にこういう場合は国有利で改正が入るので、国民有利で改正が行われることは期待できません。
老後に備えてこつこつ投資をしたのに、税金が大幅に取られるくらいなら、現役時代に遊びまくって老後は生活保護という方針も、あながち間違いでは無いのかもしれません。