個人事業主のふるさと納税の限度額は?
こんにちは、会計士の岡内です。
そろそろ年末も近づき、帰省の新幹線の切符の予約とか始まる時期になりましたね。
さて、年末と言えば、ふるさと納税が駆け込みで増える季節です。サラリーマンの方だと、源泉徴収票や給与明細から自身の所得を確定することが可能になり、税額控除の限度額が計算可能となります。個人事業主の方でも、予測値から限度額を計算している方もそこそこいらっしゃるのではないでしょうか。
2,000円で色々貰えるふるさと納税
ふるさと納税と言えば、返礼品の加熱競争で総務省が返礼割合が高い自治体は制度から外す方向で検討しています。
それもそのはず、2,000円の自己負担で金券や電化製品を貰う人等が続出し、制度趣旨を逸脱してしまったからです。ふるさと納税制度がどれだけお得か、メディアでもかなり取り上げられたので、それに拍車を掛けてしまいましたね。
そりゃ、100,000円寄附したら、98,000円が税額から控除された上で50,000円の金券が戻ってきたら、誰だってやるでしょう。差引48,000円の錬金術です。しかし、税金上考慮される寄附金の上限額は決まっています。そのため、自身の上限金額を把握した上で制度を利用しないといけません。だからこそ、年末に駆け込みでの利用が増えるのです。
個人事業主の上限金額の計算方法
インターネットではサラリーマンの上限金額の目安を計算してくれるサイトは多いですね。しかし、個人事業主の上限金額を計算出来るサイトは、私は未だに見たことありません。そのため、個人事業主の場合は自分で概ねの上限値を計算しないといけません。12月中旬から下旬になれば、11月末までの帳簿が締まっている頃合いなので、大体の着地点は予想可能なはずですね。この予測値を用いて、上限金額を計算します。姫路市のホームページに計算式が載っていたので、それを参照します。
計算式上の税金での手当ては、
①所得税:(寄附金額-2,000円)×自身の所得税率×復興特別所得税率
②住民税(基本):(寄附金額-2,000円)×10%
③住民税(特例):(寄附金額-2,000円)×(90%-自身の所得税率×復興特別所得税率)
という計算式になります。ただし、③は所得割の20%が上限値となります。
これだけ見ても分かりませんよね。例題を出しましょう。至ってシンプルなものを前提とします。
所得税率が20%で、住民税の所得割の20%が100,000円だと仮定します。
ふるさと納税で寄附した金額は50,000円です。
①=(50,000-2,000)×20%×1.021=9,801
②=(50,000-2,000)×10%=4,800
③=(50,000-2,000)×(90%-20%×1.021)=33,398≦100,000 OK
①~③の合計47,999円
端数処理でズレましたが、全額手当てがなされています。
上記の計算結果から分かる通り、③の特例分が最も重要になります。そのため、これを予測しようとすれば、所得税率と住民税の所得割を見積もらないといけません。ここが肝になるのですが、予測値は所詮予測値なので、ある程度の余裕を持たせて計算した方がいいでしょう。
住宅ローン控除を受けている人は要注意
住宅ローン控除を受けられている方は、計算に注意が必要です。住宅ローン控除は原則所得税から控除しますが、控除しきれなかった分を住民税から控除する制度があるからです。これにも上限額があるので、計算過程が複雑になります。そのため、住宅ローン控除を受けられている方は、ふるさと納税の限度額計算に注意して下さい。
所得税は還付で住民税は控除
ふるさと納税はワンストップ制度もありますが、個人事業主は確定申告を行うはずですので説明は省略します。
ふるさと納税は、所得税では所得控除ということで、所得を減らす効果があります。そのため、その分だけ還付ないし納税額が減ります。
これに対して住民税は、前年の所得に対して当年6月から支払います。そのため、還付ではなくて納税額から控除するという形で還元されます。要するに、税金の先払いだから6月以降の支払いを少なくするという処理です。
よく、『ふるさと納税したのに計算より還付が少ない!』という話しを耳にしますが、原因はコレです。初夏に住民税の通知が届くと思いますので、それを見てちゃんと控除されているか確認して下さい。
年末に向けて駆け込みの寄附が増えると思いますが、12月は普通に忙しい時期だと思いますので、早めに行動することをオススメします。