PDFの領収書などは保存しましょう
こんにちは、会計士の岡内です。
梅雨も明けて、ついに夏本番という感じになってきました。
オリンピックも開催されるようですが、体調管理には気を乗り切りましょう。
電子帳簿保存法の改正でPDFの領収書等は保存等が義務付け
インターネットで受発注を行い、そのデータをそのまま販売管理システムに取り込んで、PDFで請求書や領収書を送る事業者様も多いと思います。
そうでなくても、ワードやエクセルで作成した請求書などのデータをPDFにして、得意先にメールで送るというようなパターンも多いはずです。
これらの取引について、来年1月1日から法改正により、『必ず』データで保管していなければならなくなります。今までは、このPDFを紙でプリントアウトして保管しておけば、それでOKでしたが、それが法人税などでは認められなくなります。
運用方法にはルールがある
法改正の結果、データを保存するのは良いとして、問題はその運用方法です。この方法にはルールがあります。
1.電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)
2.見読可能装置の備付け等
3.検索機能の確保
4.次のいずれかの措置を行う
- タイムスタンプが付された後の授受
- 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
上記の1.と2.は問題無いと思います。4もd.の事務処理規程のひな形を印刷しておけばそれで終了でしょう。問題は3.検索機能の確保です。この機能にも以下の要件があります。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。
(1) 取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定することができること。
(2) 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
(3) 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
この検索要件ですが、そもそも皆様の得意先や仕入先などから来る添付データのPDFは、どういうタイトルになっているでしょうか。
『○月分請求書』とか『見積書』、『領収書』とかになっていることが多いと思います。取引年月日や金額まで書いてあるのはレアではないでしょうか。
しかし、今回の法改正は、これを求めています。そのため、これを満たすには、届いたメールの添付ファイル名を全て変える必要があります。
今のところ、実務に沿ったFAQが出る予定ですが、案としてエクセルでデータの一覧を作成しておくとか載っています。正直、中小企業にはハードルが高すぎて、どうしてこんなルールにしてしまったのか分かりません。
そのため、一部の企業では、全て紙に戻そうという議論も出ているようです。コストと手間を削減するために電子化したのに、その結果、紙でやるよりコストも手間もかかるし、しかも違反したら罰則まであるとなれば、検討して当然かと思います。
違反したら青色申告の取消事由になります
この法改正に関して、違反すれば青色申告の取消し事由に該当します。罰則有りです。
ただ、違反の程度等を総合勘案して判断という取扱いになっているので、どうなるかは担当者の次第という可能性も高そうです。