経営力向上計画は必要か?
平成28年7月から始まった中小企業等経営強化法に基づく、経営力向上計画がスタートしてから1年になります。
開始当初はあまりメジャーな制度ではありませんでしたが、中小企業においては、今後は計画策定が避けては通れないものになるのは間違いないでしょう。
当事務所では、全てのクライアント様に経営力向上計画のご説明をしております。理由はメリットが非常に大きいからです。
メリットを説明しますと、
- 認定された計画に基づき取得した一定の設備について、固定資産税の減免や即時償却又は税額控除が受けられる。
- 政府系金融機関からの低利融資や保証協会からの別枠保証等が受けられる。
- 補助金等(ものづくり補助金等)の採択審査で加点が得られることがある。(採択され易くなる)
という点があげられます。
金融機関からの資金調達を予定した設備投資に際し、これが無いと低利融資を受けることが出来ません。仮に日本政策金融公庫から借入れる場合、基準金利から0.9%控除の特別利率C又は特別利率③の適用機会を失うことになります。更には、固定資産税の減免や税額控除の機会も逃すことになります。この結果は、競争力の差に繋がりかねません。具体例を出してみましょう。
前提条件
- 同一地域で規模や事業がほぼ同一のA社とB社があると仮定
- 期首に30,000千円の設備を取得
- 耐用年数10年
- 借入れは日本政策金融公庫の国民生活事業
- 基準金利は1.81%、特利Cは0.91%
- 返済条件は10年間の毎月元利均等払い
- 税額控除は省略
A社
(計画無し) |
B社
(計画有り) |
差額 | |
償却資産税(千円) | 1,646 | 1,189 | 457 |
借入金利息(千円) | 2,819 | 1,397 | 1,422 |
合計(千円) | 4,465 | 2,586 | 1,879 |
計算を単純化するため、前提条件も含めて、ザックリとしていますが一例として上記の結果になりました。経営力向上計画の有無で、10年間で1,879千円の差が出ています。これが2台目、3台目と設備数が増えれば、差はもっと大きくなるでしょう。
さて、もし貴方がB社の社長であれば、この浮いたお金をどう使うか考えてみて下さい。従業員の待遇改善に回す、若手の研修費に充てる、納品価格の値下げ圧力を吸収するために使うなど、色々とアイディアは浮かぶのではないでしょうか?
経営力向上計画は、いかにして自社の経営力を向上させるかを書く必要があります。ただ売上高を上げる、生産性を上げるという説明ではダメです。役所の担当者が読んで、『ああ、こういうことを実施して利益や生産性を上げるんだな』、と分かるように書いて下さい。さもないと、事前チェックの段階で説明や修正を求められます。こうなってしまうと、結構な手間や時間がかかるので注意して下さい。
当事務所では、クライアント様と面談を重ね、経営力向上計画の策定支援を実施しております。案件の規模にもよりますが、報酬は10万円からとなっています。
設備投資や資金調達の予定があり、お悩みがあるのなら、当事務所へご相談下さい!