103万円の壁の税制改正
こんにちは、会計士の岡内です。
5月も下旬になり、一気に気温が上がりだし、気温の差が激しい日が目立っています。皆さんそんな中いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は、2025年に改正された、年収103万円の壁について書きたいと思います。
103万円の壁とは?
「ウチの奥さん、給料を103万円以内に抑えているんですけど、来年からどうなるんですか?」
最近、このようなご相談をクライアントの方々からよくいただきます。
いわゆる『103万円の壁』とは、主にパートやアルバイトで働く人の給与収入が103万円を超えると、所得税が発生する基準を指します。加えて、配偶者控除の対象から外れる可能性もあるため、多くの方々が意識してきた収入ラインでもあります。
そして今年、この『壁』に関する税制改正が行われ、160万円まで引き上げられました。
住民税や社会保険料は別のお話
今回引き上げられた『160万円の壁』は、あくまで所得税に関する基準です。住民税や社会保険料の基準は別物であり、それぞれ異なるルールが適用されます。
- 住民税については、来年以降は『110万円の壁(現行は100万円)』として残る予定です。
- 社会保険料については、『106万円の壁』が存在していますが、将来的にこの基準が撤廃される見込みであり、その場合は週20時間以上働くと自動的に社会保険の適用対象になる仕組みになる見込みです。
そのため、たとえ160万円まで働けるようになったとしても、その分の給料すべてが手取りとして増えるわけではない点に注意が必要です。
とはいえ、手取り自体は増えるケースが多いため、ライフスタイルや家計とのバランスを考慮して判断することが大切です。
会社の家族手当の基準も要チェック
見落とされがちなのが、会社の家族手当のルールです。多くの企業で、住宅手当や家族手当といった各種手当てを設けていますが、その支給条件として家族の収入制限を設けていることがあります。税制改正に合わせて、ここが改定されていれば問題ありませんが、従来の103万円のまま残されてしまう所が少なからず出てくると思います。特に、別居中の大学生のお子様がアルバイトで多く稼いでしまった場合などは要注意です。この辺りは、自社の給与規定などをご確認ください。場合によっては、給与規定などを改定する必要があります。
「よくわからない」からこそ、専門家に聞いてみませんか?
税制は毎年のように変わりますし、会社の状況やライフステージによって『ベストな答え』は変わります。
弊所は中小企業の経営者の皆さまにとって『身近な相談相手』でありたいと考えています。もしお悩みごとがあれば、お気軽にご相談ください。